FUKUSHIMAいのちの最前線
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5444種類の「詳細調査」 「詳細調査」では、①甲状腺検査、②健康診査、③こころの健康度・生活習慣に関する調査、④妊産婦に関する調査を行っています。①甲状腺検査 現時点での放射線量等の状況から考えて健康影響は極めて少ないと考えていますが、チェルノブイリ原発事故では放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児甲状腺がんの増加が報告されています。国が原発事故後の3月26〜30日に福島県内の小児1080人に甲状腺被ばく検査を行った結果、最も高かった一人が毎時 0.1μSv、99%の方々が 0.04μSv以下と低いレベルの甲状腺内部被ばくでした。 この数値からは甲状腺がんの増加はまず無いと考えられますが、子どもたちの健康を長期間見守るため、昨年10月より概ね18歳以下の県民約36万人を対象に、甲状腺超音波検査を実施しています。本年2月末までに避難区域の約3万人(対象地域の80%)が検査を受けた結果、大半は正常でしたが、微小なしこり(結節性病変)や嚢胞等の良性所見も認められ、その中で詳細な二次検査(詳細な超音波検査、採血、尿検査、必要に応じて細胞診等)が必要な方は 0.5%前後でした。二次検査は福島医大で予定されています。 今後数年間は将来の健康管理の土台づくりとして極めて重要な検査となります。本検査の概要と実態について別途本欄で紹介します。②健康診査 避難区域の住民や、基本調査で詳細な検査が必要と認められた人などを対象に健診を実施しています。健康状態を把握し、生活習慣病予防や疾病の早期発見、早期治療につなげることが主眼です。検査内容は年齢によって異なりますが、「特定健康診査」の検査項目が主な内容です。現在、県外でも受診できるよう準備を進めています。③こころの健康度・生活習慣に関する調査 チェルノブイリ原発事故の健康への長期的影響として、心身の変調が指摘されています。県民も放射線への不安や避難生活等により精神的な苦痛を受けていることが考えられるため、適切なケアを提供するための調査を実施しています。避難区域等の住民と基本調査の結果、必要と認められた方(約21万人)を対象に、「現在のこころとからだの健康状態」「生活習慣(食生活、睡眠、喫煙、飲酒、運動)」「最近半年の行動」「東日本大震災の体験」などの質問に答えていただきます。 相談・支援の必要があると判断された方には、臨床心理士等による「こころの健康支援チーム」が電話相談などを行います。同支援チームが専門医の対応が必要と判断した場合には、大学教員による「放射線健康相談チーム」が対応し、場合によっては診察もします。④妊産婦に関する調査 県内で母子健康手帳を交付された方(約1万6000人)と県外から母子健康手帳を交付された方のうち、3月11日以降に県内で妊婦健診を受診したり分娩した方を対象に、「震災後の妊娠健康診査の受診状況」「妊娠経過中の健康状態」「出産状況」「妊産婦のこころの健康度」などの質問に答えていただく調査を実施しています。妊産婦の今後の健康管理に役立てていただくとともに、福島県で分娩を考えている方たちに安心を提供し、県内の周産期医療の充実につなげることが目的です。 センターでは常時、助産師・保健師が育児相談などに電話やメールで応じるほか、支援が必要な方には大学の助産師・看護師が電話をかけ相談に応じます。場合により、かかりつけの産婦人科医、大学の医師も対応します。 調査事業は、内部被ばくへの対応が課題として残り、各種検査の標準化と精度管理も長期追跡調査の定期的な健康の見守りが復興の一助に基本調査対象者:2011年3月11日時点での県内居住者方 法:自記式質問票内 容:3月11日〜7月11日までの行動記録(外部被ばく線量の推計評価)◦県民の長期にわたる健康管理と治療に活用◦健康管理を通して得られた知見を次世代に活用詳細調査①甲状腺検査対 象:震災時18歳以下の全県民(県外避難者含む)内 容:甲状腺超音波検査※3年程度で対象者全員の現状を把握し、その後は定期的に検査を継続②健康診査対象者:避難区域等の県民内 容:一般健診項目など③こころの健康度・生活習慣に関する調査(避難区域等の住民への質問紙調査と相談・支援)④妊産婦に関する調査(2010年8月1日〜11年7月31日の母子健康手帳申請者へ質問紙調査)福島県・県民健康管理調査事業の概要(福島県ホームページよりー部改変)県民健康管理調査事業

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