FUKUSHIMAいのちの最前線
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482 患者は40歳代妊娠34週の女性です。 3月17日に肺塞栓症合併での分娩のため、他施設より当院へ緊急搬送されました。 産科にて誘発分娩の後、肺動脈塞栓除去術を施行しました。 この症例に対して、RBC46単位、FFP30単位、血小板製剤50単位の輸血製剤の使用がありましたが、日赤製剤のみで対応可能であり、院内採血の必要はありませんでした。また、この症例で使用された製剤の製造場所に注目すると、RBC、FFPはすべて東北管内でしたが、血小板製剤はすべて東北管外で製造されたものでした。 今回の震災では1週間の断水はあったものの、停電はありませんでした。 また、震災による外傷患者は少なく、震災直後懸念されていた緊急・大量輸血症例はありませんでした。 血液疾患患者の減少により、震災後血小板製剤の使用量は大幅に減少しました。 産科で大量輸血が1例、心臓血管外科で5例の緊急手術がありましたが、血液製剤は東北管外の血液センターから福島血液センターを経由して供給されたため、不足することなく、院内採血の必要もありませんでした。 今回この大震災のなか、血液センターとの協力により輸血部門の機能を維持することができました。 しかし、検査、製造、供給を宮城血液センターへ集約・一元化することは、地震などの災害時にリスクを伴う可能性が示唆されました。東日本大震災時の輸血〜福島県災害拠点病院における対応〜

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