FUKUSHIMAいのちの最前線
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476震災と原発事故を経験して急性心筋梗塞と心不全入院患者の居住地域の割合ですが、近隣の市町村以外に約2割が、原発周辺の相双地区といわれる場所の住民であり、福島市や二本松市の避難所や、親戚の家に避難中であったり、避難の準備中であった方たちでした。また、地域の病院で収容困難との理由で搬送されてきた例も含まれています。震災の心疾患への影響をみるために、救命センターCCUの入院患者数を検討しました。急性心筋梗塞は、前年と比べ月ごとの入院数には大きな変化はなかったものの、震災後1週間に集中して搬送がありました。この一因として、震災ストレスによる内因性カテコラミンの関与を考えました。急性心不全の入院は、4月に入り増加がみられ、震災後3ヶ月間では、前年と比べ2倍から3倍の増加がみられました。慢性心不全の急性増悪によるいわゆるリピーターの患者さんが多く入院してきました。震災後は食料不足により、インスタント食品の摂取や野菜不足など私自身も経験しました。これら食生活の変化や、不眠による生活リズムの変調や通院が困難になり処方が一時的に切れてしまったりといった不十分な内服管理など、震災ストレスに加えこれらライフスタイルの変化が一因と考えられます。

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