FUKUSHIMAいのちの最前線
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474DMAT調整本部におけるチームとしての活動の重要性このような過程を経て、強力な医療調整チームができあがり、この後に起こる30km圏内の病院避難では、様々なトラブルをチーム力で乗り切り、1人の死者を出すこともなく、避難を完了し得た。大規模災害では、予想されたとおり災害対策本部において医療班の果たす役割は重要なものであった。その対策として、現在、統括DMAT研修が行われているが、対象は医師に限られ、ロジの役割は明確にされていない。今回、我々が経験した活動から、自治体災害対策本部における医療調整活動では、統括医師ばかりでなく、それを支えるロジとともにチームとして機能することが重要であることが、改めて明らかになった。今回のロジの対応は、学びながら対応したと言える。この経験を生かし、今後、統括チームとして活動するロジの養成研修の開催が望まれる。(参考文献)日本集団災害医学会誌 vo.17 №1この病院避難は、医療調整チームだけでは行えるミッションではなく、自衛隊など各機関の協力はなくてはならなかった。搬送計画を立案するリーダー医師は、院内調整を終え、遅れて参入したため、当初、災対本部内に人脈はなかった。各機関との交渉を支えたのは、災害当初から各機関と友好な関係構築を図っていたロジスティクスの功績があった。そのほか、おのおののリーダー医師がその実力を発揮できたのは、さまざまな場面で、陰ながら交渉を行ったロジスティクスの努力があったことは否定できない。結語:大災害では、種々の医療調整が求められ、行政内に構築されるべき医療班は、DMATの調整業務だけにとどまらない。統括医師だけでは業務の遂行は困難で、有能なロジを含めた、チームでの活動が必須である。災害時、行政内で統括チームとして機能できるロジの養成研修が必要である。

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