FUKUSHIMAいのちの最前線
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470東日本大震災における基幹災害拠点病院DMATとしての活動公立大学法人福島県立医科大学附属病院小賀坂奈美 佐藤めぐみ 宮崎 博之 塚田 泰彦田勢長一郎 渡部智恵子 島田 二郎2012年2月21日〜22日日本集団災害医学会(金沢) 東日本大震災において、福島県は地震、津波、原発事故による甚大な被害を受けた。時間の経過につれ事態が変化していく中で、福島県立医科大学附属病院(以下当院)DMATは、基幹災害拠点病院として多くの役割をこなした。それらの活動を振り返って報告する。 震災直後から緊急災害体制が整えられ、当院DMATは、基幹災害拠点病院としての対応を行った。活動内容は、1)院内災害対策本部の立ち上げ、院内の調整、職員・外来および入院患者の安全確保2)多数傷病者受け入れの準備、トリアージと役割分担3)県内・市内の被災病院からの患者受け入れと搬送4)DMAT参集拠点病院としての受け入れ準備と本部立ち上げ5)ドクターヘリ活動拠点本部としての受け入れ準備と運営6)県庁災害対策本部およびDMAT調整本部への派遣7)緊急被ばく医療体制の立ち上げ8)来院者への放射線スクリーニング9)避難区域入院患者受け入れおよび他県搬送の中継地点としての役割 震災直後、外傷患者の搬送は少なかった。それに対して原発事故の避難患者受け入れと搬送は、情報が混乱した中で連日対応に追われた。緊急被ばく医療は、収束がつかないため今なお継続している。院内DMATは、それぞれの場面で調整役として役割を遂行していったが、本来のチーム活動ができなかった。 基幹災害拠点病院DMATとしての活動は多岐にわたり個々の容量を超えていたが混乱することなくスムーズに活動することができた。昨年、当院で行った東北DMAT参集訓練の経験が大きく役に立ったといえる。しかし人員不足のため個々の負担が大きく、チームとしての活動はできなかった。今後の課題として、DMATメンバー増員と定期的な訓練の機会を増やしていく事、さらに振り返りを行い事後検証していくことで今後のDMAT活動に役立てていく必要がある。活動の実際はじめに考察および今後の課題

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