FUKUSHIMAいのちの最前線
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第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線467転院搬送のため宮城県石巻に向かったフライトドクターから津波で陸の孤島となり孤立した病院の情報を入手しました。停電により真っ暗で通信網も遮断されてしまった病院に当院DMATの自家発電機をドクターヘリで輸送しました。これによって各種充電が可能となり通信手段が確保され他機関との連絡や患者搬送がスムーズに行えるようになりました。さらに不足した資機材や孤立病院から患者の搬送を行いました。道路交通網の寸断により陸路搬送が困難な中、ドクターヘリによる空路搬送は非常に有効でした。また、壊滅的な通信状態の中、ドクターヘリが対応できたのはDMATが中心となって調整を行ったためと考えます。ドクターヘリの運航調整がスムーズにいくためには、通信指令室とDMAT活動拠点本部および病院との調整が必須となります。今回、当院スタッフがその任務に従事することでサポートできたと考えます。拠点病院スタッフは、ドクターヘリの活動のみならず複数のヘリの運航がスムーズにいくように通信手段の確保や資機材の準備、休憩場所の確保など多方面からの調整をしていくことが必要となります。また複数のドクターヘリを帰着させるために通常使用しているヘリポート以外にグラウンドを臨時ヘリポートとして準備をしました。着陸が日没後になってしまったため緊急に夜間照明の準備が必要になりました。参集DMATの車両のヘッドライトを照らし、消防車のライトも活用しました。さらに安全を確保するため、スタッフ自ら奔走して病院からケーブルを引いて電源の準備し投光器を使用できるようにしました。ドクターヘリはすべて安全に着陸することができました。

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