FUKUSHIMAいのちの最前線
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第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線421月にわたって余震の前に地鳴りや地響きを体感した。P波は進行速度が速い(秒速約5㎞)が,振動エネルギー(震動の強さ)は小さく,我々が揺れとして感じるのはP波の後に来るS波である。地鳴りはP波が空気の振動を含む地上のものを揺らすことで生じるとの解釈がある。すなわち,動物は人には感知されない弱いP波による地鳴り現象を感知しているものと推測できる。 地鳴り,地下水や温泉,海水,井戸などの水位変動,水質の変化,動物の異常行動,地震雲や発光など気象現象の異常等,有感地震の前兆現象として観察される現象は宏観異常現象として広く伝承されている。このような現象は,科学的根拠に乏しく妥当性についての検証や証明が行われていないが,迷信やデマとしてしまうには体験者が多すぎる。 東海大学地震予知研究センター宏観異常現象研究班ではこれまでにも「ナマズの行動と刺激要素に関する研究―地震とナマズの関係解明にむけて―」について観察し,最近ではホームページ上に平成23年東北地方太平洋沖地震に関わる異常現象目撃情報募集中!の協力お願いを掲載している(http://www.sems-tokaiuniv.jp/namazu/)。今回報告したマウスでの記録結果は地震による驚愕現象として解釈したが,地震による動物の異常行動の科学的根拠として活用できるかも知れない。詳細についてはさらなる解析が必要である。図1.地震発生前後におけるマウスの体温と自発活動量

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