FUKUSHIMAいのちの最前線
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408 東日本大震災が起こった時刻に、当院と関連病院の合計16施設のうち15施設で手術が行われていた。今回の震災時の対応と、震災後に行った「災害に備えて準備してあったもの」などのアンケート結果について報告する。[震災時の状況]最大震度は2施設で震度6強、当院は5強であった。合計58人の患者が手術室に入室していたが、そのうち麻酔科管理症例は44件であった。麻酔科管理症例の麻酔法は、全身麻酔39件(1例は導入直前)、脊髄くも膜下麻酔は5件であった。手術室にいた58症例のうち、24症例が途中で中止となった。患者の安全は確保され、スタッフのけがなどもなかった。医療機器では、1施設で麻酔器の電源が非常電源となった1時間後に切れてしまい、アンビューバッグを使用した。別の1施設では麻酔器の上においてあったモニターが落下し破損し、さらにセントラルパイピングによる酸素供給が一部の部屋で使用不能となり、覚醒時は麻酔器につけてある酸素ボンベを使用した。[アンケート結果]手術室内に置いてあった担架の数は、各病院1~2個と非常に少なかった。バッグバルブマスクも1~3個とかなり少ない。携帯用のボックスに入った緊急用薬剤は、ほぼ半数の施設しか用意されていなかった。救急カートはどの病院でもあると思われるが、避難の際には使用できない。今後は、酸素供給が絶たれた時のために麻酔器には酸素ボンベをつけることを義務化すべきである。手術室内の担架はもっと増やし、バッグバルブマスクは手術室の数が必要であると思われる。避難用の薬剤も何らかのボックスに入れておく必要がある。地震災害発生時の対応として、上農らは患者の保護と術野の清潔の維持、医療機器の転倒、移動の防止を第一に挙げ、医療ガスや電気供給などの状況を把握した上で、手術のトリアージを行うとしている。今回のアンケート結果から、それに加え災害時に必要な備品を揃える必要がある。麻酔第61巻臨時増刊号〈2012年6月7日発行〉(克誠堂出版)掲載福島県立医科大学附属病院麻酔科最上 翠,前田 友美,今泉 剛,中川 雅之,五十洲 剛,村川 雅洋The effect of the Tohoku Earthquake 2011 on our operation rooms in Fukushima and the results of the questionnaire survey in terms of risk management.福島県における東日本大震災( )時の手術室の状況とその後に行ったアンケート結果についてthe 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake

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