FUKUSHIMAいのちの最前線
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第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線381いて調査をまとめた。なお,以下に示す集計結果のうち,百分率表示の結果については小数点2桁目を四捨五入して小数点1桁で表示している。1.期間内に新入院となった610人についての調査結果 新入院患者の年齢分布は10歳~19歳が17人(2.8%),20歳~29歳が67人(11.0%),30歳“~39歳が106人(17.4%),40歳~49歳が84人(13.8%),50歳~59歳が90人(14.8%),60歳~69歳が110人(18.0%),70歳~79歳が56人(9.2%),80歳~89歳が67人(11.0%),90歳以上が13人(2.1%)であった。また,性別は男性299人(49.0%),女性311人(51.0%)であった。自宅被災の有無については自宅被災ありの患者が71人(11.6%),自宅被災なしの患者が536人(87.9%),不明が3人(0.5%)であった。入院前の生活状況は自宅で生活していた患者が488人(80.0%),避難所で生活していた患者が81人(13.3%),親戚宅などのその他で生活していた患者が39人(6.4%),不明が2人(0.3%)であった。 震災前の精神科診断はICD-10分類でF0(症状性を含む器質性精神障害)が80人(13.1%),F1(精神作用物質使用による精神および行動の障害)が33人(5.4%),F2(統合失調症,統合失調症型障害および妄想性障害)が187人(30.7%),F3(気分(感情)障害)が137人(22.5%),F4(神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害)が45人(7.4%),F5(生理的障害および身体要因に関連した行動症候群)が2人(0.3%),F6(成人のパーソナリティおよび行動の障害)が11人(1.8%),F7(精神遅滞)が20人(3.3%),F8(心理発達の障害)が9人(1.5%),てんかんを含むその他が12人(2.0%),震災前に精神科受診歴がなかった患者が74人(12.1%)であった。 入院時状態像は幻覚妄想状態が146人(24.0%),錯乱状態が44人(7.2%),躁状態が71人(11.6%),うつ状態が128人(21.0%),神経衰弱状態が39人(6.4%),緊張病状態が13人(2.1%),せん妄状態が28人(4.6%),もうろう状態が13人(2.1%),認知症症候群が71人(11.6%),その他が57人(9.3%)であった。(図1)。 入院時診断はICD-10分類でF0(症状性を含む器質性精神障害)が114人(18.7%),F1(精神作用物質使用による精神および行動の障害)が39人(6.4%),F2(統合失調症,統合失調症型障害および妄想性障害)が202人(33.1%),F3(気分(感情)障害)が145人(23.8%),F4(神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害)が53人(8.7%),F5(生理的障害および身体要因に関連した行動症候群)が4人(0.7%),F6(成人のパーソナリティおよび行動の障害)が15人(2.5%),F7(精神遅滞)が20人(3.3%),F8(心理発達の障害)が9人(1.5%),てんかんを含むその他が9人(1.5%)であった。 入院形態は任意入院が341人(56.0%),医療保護入院が253人(41.5%),応急入院が4人(0.7%),措置入院が10人(1.6%),入院形態不明が2人(0.3%)であった。震災から入院までの日数は図2に示す通りである。原発事故による放射線被ばくへの恐れが入院と関連あるとされた患者は74人(12.1%),関連があるかもしれないとされた患者は75人(12.3%)であり,合わせて全体の24.4%であった(図3)。各地域ごとにその地域の全入院患者に対する放射線被ばくへの恐れが入院に関連ありとされた患者の割合は,福島市を含む県北地域では5.8%,郡山市を含む県中地域では7.6%,県南地域では9.4%,福島第1,第2原子力発電所のある双葉郡を含む相双地域その他認知症症候群もうろう状態せん妄状態緊張病状態神経衰弱状態うつ状態躁状態錯乱状態幻覚妄想状態単位:人1461281344281371577139図1 全新入院患者の入院時状態像図2 全新入院患者の震災から入院までの日数不明関連あるとはいえない関連あるかもしれない関連あり単位:人74475457図3 全身入院患者のうち,放射線被ばくへの恐れが 入院に関連していた人数

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