FUKUSHIMAいのちの最前線
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376第22回日本頭頸部外科学会総会ならびに学術講演会プログラム・予稿集掲載第22回日本頭頸部外科学会会長 大森 孝一福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座The 22nd Annual Meeting of the Japan Society for Head and Neck Surgeryごあいさつ このたび第22回日本頭頸部外科学会を福島市にて開催させていただくこととなりました。教室としまして大変光栄なことであり、役員の皆様、会員の皆様に感謝いたします。 米国では耳鼻咽喉科・頭頸部外科はトップ3に入る人気の診療科だそうです。日本でもそのようになればという願いを込めて、今回の学会のメインテーマを「感動を与える外科」としました。機能回復手術により聞こえるようになった、声が出るようになったなど、患者さんに感動を与えると同時に、顕微鏡や内視鏡による精密な手術、外切開によるダイナミックな手術を見て「頭頸部外科ってこんなにやりがいがある」と医学部学生や初期研修医に感動を与えられれば、将来につながると思っています。 本学会では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の多種多様な手術治療を広く取り上げるというコンセプトで企画いたしました。シンポジウムI「頭頸部外科治療のカッティング・エッジ」では最先端の頭頸部外科治療を紹介し近未来について語っていただきます。シンポジウムⅡ「口腔癌治療の新展開」では治療成績の向上と機能温存に取り組む新しい治療を紹介していただきます。パネルディスカッションでは頭頸部がん専門医制度について、作成者、指導者、受験者それぞれの立場から、現状と今後の課題を討論します。 海外招聘講演は Mayo ClinicのNicolas E. Mara­gos 先生に喉頭枠組み手術における披裂軟骨について、Yonsei 大学の Se-Heon Kim 先生に経口腔のロボット支援咽頭喉頭手術について講演していただきます。特別講演は頭頸部腫瘍に対する頭蓋底外科手術について福島医大脳神経外科の齋藤清教授に、福島原発事故と放射線健康リスク管理について福島医大の山下俊一副学長に話していただきます。 私が市中病院の診療科長の時にこの学会に来て役に立ったことは、難しい症例にどのような手術をしたら良いか、やれそうだけどやったことが無い、次に修得したい、という様々な手術手技の工夫や新しい術式を動画で見られることでした。今回はアドバンスト手術手技セミナーとして、既に基本手技を修得した中堅の医師を対象に、各分野のエキスパートから高度な手術手技やトラブルシューティングを伝授していただきます。若手医師対象の教育ビデオセミナーでは、リハビリテーションを考慮した手術という共通テーマで講演していただきます。初期研修医、医学部学生を対象として、臨床研修セミナー「見てみよう。こんなに奥深い!頭頸部外科」を予定しています。将来の仲間をたくさん連れてきてください。 東日本大震災に際しましては、日本頭頸部外科学会による頭頸部癌患者の受け入れ支援活動など、全国からの温かいご支援をいただきました。心より感謝いたします。福島医大では4月から通常の病院診療、5月から大学の授業が始まっており、現在福島県では避難地域を除いては普段通りの生活をしています。本学会を通常通り開催することは復旧から復興への大きな一歩になると考えています。しっかり勉強できる有意義な会になるよう教室をあげて準備しておりますので、皆様のご出席を賜りますようお願い申し上げます。

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