FUKUSHIMAいのちの最前線
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3743.11共有すべき記憶〜復旧から復興へ〜ミー症候群、小児、感染制御、耳鼻咽喉科、眼科、心のケア、避難所保健指導、在宅患者の訪問診療など、各チームに分かれて小型バスやバンを借り、県内の避難所を巡回しました。全国からJMAT(Japan Medical Association Team)が避難所に来ていました。5月にはヨルダン・ハシミテ王国やタイ王国から海外医療支援団を受け入れました。耳鼻咽喉科のニーズとしては、咽喉頭炎、アレルギー性鼻炎、鼻出血、耳垢などで、乾燥している施設では加湿器が喜ばれました。 ガソリンもなく、職員の通勤も難しくなってきましたが、3週間経ってガソリンの供給が震災前の状態になり、通常の生活に戻りました。病院は3月28日から通常外来を開始し、定期手術も徐々に実施できるようになり、4月中旬にはほとんど元通りの診療に戻りました。大学の入学式は1カ月遅れて5月6日に挙行しました。東北新幹線が4月末には再開通しましたので、他県への学会出張なども通常に戻りました。4.3ヵ月目〜現在 避難住民への医療支援はニーズに応じて徐々に縮小し、現在は主に浜通りで心のケアが継続して行われています。放射線被ばく対応として、原発やその周辺で働く人や住民の万が一の被ばくに備えて、除染や救急医療のシミュレーションを行っています。 福島県では放射線の影響による不安の解消や将来にわたる県民の健康管理を目的とした「県民健康管理調査」を実施することとし、本学に放射線医学県民健康管理センターを設置し、業務を受託しています。2011年3月11日から7月1日までの間、福島県内に居住された方を対象に基本調査を行い、問診票に3月11日以降の行動記録を書いてもらい、被ばく線量を推計し、結果をお知らせするものです。また、18歳までの県民を対象に甲状腺超音波検査を開始しました。 復興への大きな一歩として、「第22回日本頭頸部外科学会」を2012年1月26日〜27日に予定通り福島市にて開催することといたしました。 米国では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科はトップ3に入る人気の診療科であり、日本でもそのようになれば…という願いを込めて、今学会のメインテーマを『感動を与える外科』としました。 機能回復手術により聞こえるようになった、声が出るようになったなど、患者さんに感動を与えると同時に、顕微鏡や内視鏡による精密な手術、外切開によるダイナミックな手術を見て、「頭頸部外科ってこんなにやりがいがある」と学生や初期研修医に感動を与えられればと思います。シンポジウム、パネルディスカッション、特別講演、アドバンスト手術手技セミナー、教育ビデオセミナーなどを企画しています(表1)。将来、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を考えている人をたくさん連れてきてほしいと願っています。 地震発生の瞬間から今日まで、ど真ん中で体験し、生きていくこと、そのためのライフラインや病院機能の基盤インフラの大切さ、普段当たり前にあるものが当たり前でないことを痛感しました。さらに、大災害発生時の初動の重要性、前線基地で闘う教室員や職員の士気の高さと同時に、気持ちの維持の難第22回日本頭頸部外科学会開催に向けて福島医大の医療支援活動(震災発生から2カ月間のまとめ)●震災発生2週間~2カ月1週間~災害医療対応超急性期外来,定期手術休止救急重症対応震災患者受入約1000名いわき相双地区14病院患者搬送対象者 約1300名搬送中継トリアージ対象者 175名(重症患者125名は入院加療)高度被曝者12名除染、3名入院被災者放射線サーベイ約500名広域医療緊急支援高度医療緊急支援チーム(原発より30㎞~)エコノミー症候群小児科・感染制御・耳鼻咽喉科・眼科こころのケア、循環器、保健所支援地域・家庭医療チーム(原発より20~30㎞)退避患者対応急性期避難民対応慢性期原発事故対応おわりに

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