FUKUSHIMAいのちの最前線
375/608

第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線369 耳鼻科としての診療は収容人数100人当たり3人程度、避難所の大きさに比例してニーズがありました。収容されている人々は3施設とも双葉郡、南相馬市の住民がほとんどでした。 避難所ごとに訴えてくる症状は傾向があり、大きなブースで生活しているところ(表2①③)は上気道炎(急性咽喉頭炎、副鼻腔炎、鼻アレルギー)が多く、各家族に個室が与えられているところ(表2②)は滲出性中耳炎や以前通院していた疾患の定期検診依頼が多くありました。 各避難所には一般医薬品から医療用医薬品まで様々な薬が配給されていましたが種類が限られており、出したいように処方するのは難しかったです。その日の後から、製薬会社より提供いただいた薬剤、そして本大学の災害支援として頻用が予想される薬を持参し派遣に赴くようになりました。避難所には芸能人の慰問や、様々な分野からの援助が来ていました。 海外からも人的・物資的支援を頂きました。エコノミークラス症候群チームを支援いただいたヨルダン・ハシミテ王国に次いで、タイ王国から小児科医の医療支援あり、5月9日から6月2日まで小児・感染対策チームが同行して避難所支援を行いました。 状況が把握しにくい中での派遣スタートでしたが、診療のニーズは高く、JMATなどの常駐スタッフと少しでも相談するとそのニーズには対応できました。福島医大県内避難所支援は、避難所周囲の病院・診療所・調剤薬局がほぼ復旧した23年6月下旬までに、避難所のべ215施設を訪れ、約4000人以上を診察しております。心のケアチームの診察(あづま運動公園体育館)JMATチーム控室にてカンファランス(自治研修センター)避難所(あづま運動公園体育館)表2:平成23年3月31日に訪問した避難所施 設収容人数診療時間診療人数(耳鼻科)JMAT常駐薬剤師①あづま運動公園1000人2時間30名日本赤十字社あり②自治研修センター200人1時間6名慈恵医大あり③パルセいいざか400人1時間10名なしあり

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です