FUKUSHIMAいのちの最前線
322/608

316福島医大 高度医療緊急支援に係る実績について山町8-30、TEL024-535-3556、FAX024-533-2408)と福島県立医科大学医学部神経精神医学講座(〒960-1295 福島市光が丘1、TEL024-547-1331、FAX024-548-6735)とした。実際の支援業務の相談については福島県立医科大学医学部神経精神医学講座(〒960-1295 福島市光が丘1、TEL024-547-1331、FAX024-548-6735)を対応窓口とした。〈2〉心のケアチームの行うべき業務1)災害によって障害された既存の精神医療システムの機能を支援する。 ●壊滅した地域精神医療機関の業務を支援する。避難所、孤立地域の精神疾患患者への対応を支援する。2)災害のストレスによって新たに生じた精神的問題を抱える一般住民について対応する。 ●避難所をはじめ地域で震災によって急性の精神障害、精神状態の悪化をきたした患者への対応を行う。 ●災害のストレスによってこころや身体の不調をきたした住民を早期に発見し、対応する。 ●今後発生すると思われる精神疾患、精神的不調を予防するための介入を行う。3)被災者のケアを行う職員、スタッフの精神的問題も念頭に置く。〈3〉これまでの主な活動地区とその活動1)いわき地区 この地域における心のケアチームの活動は、3月18日(金)に始まった。この地域のケアは、当初より各避難所における巡回診療・相談が中心であった。福島県立医大心身医療科医師・心理士に加えて、これを一貫して担ってきたのは、常駐していた大阪のさわ病院、東京の成増厚生病院のチームであった。特にさわ病院は、今後一ヶ月以上も滞在する予定である。他に、九州大学精神科、都立松沢病院、昭和大学精神科、国立精神神経医療センターなどが心のケアチームに参加した。一日8~9程度の避難所を巡り、後述するように最初から心の問題を取り上げるのは困難なことから、身体症状を訴える患者さんにも充分に対応し、そこから心の問題をとりあげるような巡回を行い、さわ病院、全国医薬品協会などから寄付された医薬品を用いて加療を行った。一避難所あたり、5−10人程度の処方をおこなった。精神科疾患としては、不眠、抑うつ反応、ストレス反応、投薬中断による精神運動興奮(統合失調症)などが多かった(詳細な統計は、後日報告)。2)相双(相馬・双葉)地区 この地域における心のケアチームの活動は、3月29日(火)に始まった。この地区の要請は当初は二つであった。一つは、相馬市長より要請を受けた公立相馬総合病院における精神科外来診療の開始であり、もう一つは、各避難所における巡回診療・相談である。前者は、相双地区では、避難指示あるいは屋内退避指示が出された地域に精神科病院があり、入院患者さんは県内外の病院に移送されたが、外来の患者さんは通院する病院がなくなってしまったのである。双葉厚生病院精神科、双葉病院、雲雀ヶ丘病院、小高赤坂病院などが閉鎖された。地元の保健師を中心に、福島県立医大看護学部の看護チームがローテートしながら常駐し、福島県立医大心身医療科医師に加えて、福島医大心のケアチームには、大阪府立大学、獨協医科大学精神科、理化学研究所、熊本県からも桜ヶ丘病院精神科、東京の伊藤メンタルクリニック、立川パークサイドクリニック、茨城心の医療センター、神奈川県の福井記念病院、奈良県立医科大学精神科、都立松沢病院、群馬大学精神科、郡山女子大学心理学科、山口県の扶老会病院精神科、県立友部病院精神科、名古屋工業大学、愛知県の森クリニックなどが1日から1週間の滞在期間で参加している。公立相馬総合病院における日々の外来患者数は約20人程度である。巡回は3~6箇所/日の避難所を巡るが、不眠、抑うつ、ストレス反応、統合失調症増悪の他、避難所生活での被虐待児の問題の顕在化などが認められた(詳細な統計は、後日報告)。〈4〉心のケアチームの現時点でのまとめ1)心のケアチームの活動は、既存の精神医療機関、保健所、市町村と連携して行うことを原則とした。つまり、いわき市も、相双地区も、精神保健福祉センターに拠点を置き、そこの保健師さんとの連携を通して情報を収集し、需要を評価し、支援計画を作り、実践している。2)被災地の状況によって地域の精神保健医療システムの活動状況は異なるので、それに合わせた支援活動を策定した。例えば、相双地区においては、精神科病院の機能が停止しており、公立相馬病院に臨時の精神科外来を構築し、外来診療を行っている。3)心のケアの地域活動にあたっては、一般的医療活動を媒介として行うことが支援の有効性を高めることが知られている。そこで、精神的ストレス

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です