FUKUSHIMAいのちの最前線
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313福島県の医科系大学のトップとして◦3月11日(金)〜21日(月)震災による大量の患者受入のため、1階正面玄関ホールにベッド33台を配置して受け入れ準備。◦3月12日(土)〜21日(月)県災害対策本部より、避難指示地域等にある病院等の入院患者受入要請があり、旧1内、2内、3内、神経内科の各外来に簡易ベッドを配置して受け入れ準備。◦主な受入及び移送の状況①3月14日(月)夕方〜15日(火)早朝〇西病院(浪江町)74名受け入れ→3月15日、16日 会津地方の病院への転院(災害対策本部手配バス)竹田綜合病院(23名)、会津中央病院(17名)、有隣病院(10名)→3月16日 透析患者を東京の病院へ転院(災害対策本部手配バス)東大病院(8名)、帝京大病院(7名)②3月15日(火)〇双葉病院(関連老人保健施設含む)(大熊町)21名受け入れ(いわき光洋高校に避難中)→3月23日(水)済生会福島病院(2名)、枡記念病院(1名)へ転院3月25日(金)竹田綜合病院(4名)へ転院3月25日(金)〜26日(土)会津中央病院(13名)へ転院③3月19日(土)〇南相馬市立小高病院8名受け入れ→3月20日(日)新潟県へ搬送(8名)(防災ヘリ及び緊急消防援助隊救急車)〇いわき市立総合磐城共立病院11名受け入れ→3月20日(日)会津中央病院へ転院(5名)④3月20日(日)〇南相馬市立総合病院(26名)受け入れ→3月20日(日)新潟県(新潟市民病院等)へ搬送(21名)(緊急消防援助隊救急車)〇大町病院(南相馬市)(13名)受け入れ→3月21日(月・祝)群馬県へ搬送(自衛隊バス)⑤この他、3月12日双葉厚生病院(2名)、3月14日県立大野病院(2名)など多数の病院等から入院患者を受け入れた。※原発事故に伴い避難・屋内待避地区の医療機関等からの大量患者受け入れを想定し、受け入れのための病床を確保するために、入院制限等を行い、2病棟を空床として備えた。入院患者ゼロの期間6階東病棟:3月21日(月)〜27日(日)9階東病棟:3月26日(土)〜31日(木)避難指示地域等にある病院の入院患者の受入、移送等について病院経営課も挙げられる。 第3に,未知の対処には,実際,勇気を必要とする。しかも,この勇気は決して恐怖がないのではなく,それを心に押し込めて決断・実行する能力が求められ,それこそが真の勇気なのである。実際,愚痴や泣き言を言っても誰も助けてはくれないのである。 安全と安心は対極に位置している。安全は科学であり,安心は心の問題であり,コストの問題でもある。ただ,今回のような未曾有な惨事のような場合,村上陽一郎の提言は示唆的である。 このような修羅場では,懸命に働いている人々に,トップによる「貴方の働きを知っている。感謝している」というメッセージの発信は重要である。 最も厄介で,現場で対応している当事者たちを困惑させてしまうのは,先に示した箴言と重複するが,事態が落ち着いてから,後日,後知恵的に非難されることである。リアルタイムで瞬時に判断を下している中には,後で振り返ってみればより良い決断もあった筈である。だからこそ,有事には「朝令暮改の勧め」なのである。それを,第三者的に,十分な情報を持たずに非難されると,現場の人間は正直言って辛い。 最後に危機的状況では,国民は賢いリーダーに従う必要がある。ただ,そのとき,現場に,あるいは行政に賢いリーダーを持っているかどうかが運命の分かれ目となる。(本稿の内容は,第60回東日本整形災害外科学会・第51回関東整形災害外科学会合同学術集会にて講演した。)

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