FUKUSHIMAいのちの最前線
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特別インタビューFUKUSHIMA いのちの最前線279悲劇から奇跡へ故が起きた時はどうすればいいかを真剣に学ぼうとしています。「記録を伝える」のが使命──最も参考にするのは日本からということですか。菊地 残念ながら我々は原発に苦難を強いられています。科学的には今、国内で放射能に汚染されていない所はありません。我々に必要なのは冷静な議論や後世に何が必要かという視点ではないでしょうか。事故を天命と受け止め、その事実を正しく、しっかりと伝えていかなければならないんです。これは我々に課せられた歴史的使命でしょう。──記録を伝える大切さを強調していますね。菊地 行政も医療も、よく質問にだけ答えて下さいと言われることがあります。言い換えれば反論ができないのです。そういう文化があるから、私達の方から十分伝えられない、発信ができない面があります。「事実を、そのままに。純粋に“記録”を」「非難するばかりでは何も進まない」。しかも第三者が評価するに足る記録を残すことです。私はこの言葉を繰り返しているのです。大学の広報部門の強化も必要と考えています。県民でなければ、県民を救えない──お話を聞いているうちに、気づかされた事があります。“私たちは被害者だ”との思いが強すぎ、自分の事しか、考えていなかったのではないかと。菊地 われわれ医療人一人一人も今回の災害で“死生観”が問われたんじゃないでしょうか。福島から去るのも人生、福島に残るのも人生です。私はここに残ることに決めました。医療が崩れたら、福島に誰も残りません。繰り返しますが、歴史的な使命を与えられたのだと受け止め、“FUKUSHIMA”を海外へ、後世へ伝えて行く覚悟です。高田 優美フリーアナウンサー福島大学行政政策学類「キャリアモデル学習」非常勤講師たかだ・ゆみ●福島県福島市出身。ノートルダム清心女子大学文学部国語国文学科卒業。NHKの国際放送局「ふれあい音楽館」アシスタント「Hello from Japan」公開生放送の司会を皮切りにFM TOKYO 主催のイベントMCや、女優業など幅広く活動。現在は、各TV局・ラジオ局で、番組ナビゲーター、リポーター、ナレーション等、フリーアナウンサーの仕事を中心に、演技経験を生かしTVCMにも出演している。

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