FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線227〈座長〉 前川 和彦1 鈴木 元2 〈パネリスト〉 金谷 泰宏3 富永 隆子4 鈴木 敏和4 欅田 尚樹3百瀬 琢麿5 衣笠 達也6 長谷川 有史7 諸澄 邦彦8�The challenge for the future of Radiation Emergency Medicine第15回放射線事故医療研究会 東京電力福島第一原発事故を受けた緊急被ばく医療体制の再構築にむけて パネルディスカッション将来の緊急被ばく医療の課題鈴木元:パネルディスカッションの前半は,特に「対応者の安全と安心」,自分たちを守るような体制がどうであったか,あるいは「被災者の防護」という意味でどのくらい「実効性」のあることができたのかということに関して皆さんのご意見をうかがい,いろいろディスカッションしていきたいと思っております。 そのあと,後半ではその実効性を担保するような「情報共有]や「意志決定」,それを可能にするような「組織」は将来どのようにすればいいのか,ということを考えてまいりたいと思います。今回,被ばく医療がうまくいったとおっしゃる先生方はそう多くないと思います。なぜそれはうまくいかなかったのか,それはもともと私たちが考えていたような準備を全く凌駕するような事故だったせいなのか,またそれで話が済むのか,それとももっと根本的な欠陥があったのかどうか,そのへんをまず前半の話題にしていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。前川和彦:今回のパネルディスカッションの演者には消防,警察,自衛隊の人といったファーストレスポンダーが誰も入っていないので,「対応者」といっても,むしろ被ばく医療における対応に限定されます。ファーストレスポンダーである消防,警察,自衛隊の人たちの安心,安全がどうかとなると,私たちはすべてを知っているわけではない。避難所活動(スクリーニング,除染,登録)前川:そこで避難所活動ということでは語れると思うのです 最初にスクリーニングに携わっていただいた方々が何人かいらっしゃいます。まずこのスクリーニングを話題にしたいと思います。 今回のスクリーニングについて,鈴木会長の基調講演の中にもありましたが,スクリーニングレベルというのはそもそも何か。cpmで語ろうということになっているのですが,そのスクリーニングレベルの問題に,まず絞って話をしたいと思います。 最初,福島の対策本部で決めたときの当事者の方は会場におられますか? おられましたらそのあたりのことを説明していただけますか? 住民の方々が避難をされてきて,除染をするかどうかという基準を100,000cpmにしていますが,そこに至ったいきさつと,なぜそうなったかを説明していただきたいと思います。細井義央(広島大学):そうなったいきさつですが,3月13日に広島大学のグループと放医研のグループが福島市に入り,いろいろな状況を聞きました。その中で当日と前日,スクリーニングをしたとき,多くの人をどういう基準でやっていたのかというと,10,000cpmか13,000cpmか,そうでなかったら6,000cpmかで,それを超えたら全身の除染をするという基準でした。二本松では多くの人がその基準を超えており,自衛隊が除染をしなければいけない。全身シャワーをするということでしたが,途中から水がなくなって除染ができなくなっています。排水を溜めておかなければいけないのですが,それを溜める場所もなくなり,どうしようという話を聞きました。 それから福島県立医大がその間にスクリーニングをしています。放射線科の宍戸教授がなさっていましたので,話を聞きましたら多くの人が10,000cpmを超えているけれども100,000cpmは超えておらず,現場対応における「実効性」「対応者の安全と安心」「被災者の防護(基準)」1フジ虎ノ門整形外科病院 2国際医療福祉大学クリニック 3国立保健医療科学院 4独立行政法人放射線医学総合研究所5独立行政法人日本原子力研究開発機構 6三菱重工業株式会社神戸造船所 7福島県立医科大学 8埼玉県立がんセンター

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