FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線221 毎回,冒頭でミニレクチャーの時間を5分間設け,参加者の知的好奇心を喚起した。各分野の専門家から,原子力発電,原子物理学,被曝医療の最新知識などについて解説してもらい,非常に有用な時間となった。 そのうえで本日の原発破損状況解説から始まり,現在の未解決事項とこれまでの解決事項とをそれぞれ列挙し,その日行うべき業務内容を明確化して時間の無駄を省くとともに,常に達成感を共有することで,モチベーションを維持した。会議は短時間として終了時間を厳守した。 この多職種ミーティングは同時に,学内職員のリスクコミュニケーションの役割を果たした。参加者の放射線に関する多くの疑問をその場で共有し,解決した。情報災害と評されたなかで,被曝医療班において放射線に対するリスク認識が共有できたことは意義深かった。院内勉強会とシミュレーション 放射線知識の絶対的不足を補うために,皆が眠る時間を惜しんで勉強した。その実は,“原発という敵の姿をイメージできないと恐ろしくて眠れなかった”というのが正直なところである。知識不足が客観的なリスク評価を妨げることを,この時,身をもって学んだ。原子力安全研究協会の『緊急被ばく医療ポケットブック』1)は,多くの書籍のなかでも現場で役立つ実践的な内容であり,是非,一読を勧めたい。患者受け入れ準備緊急被曝医療班招集患者来棟簡易汚染検査不安定(蘇生優先)安定(除染優先)安定不安定化詳細汚染検査除染primary surveyと蘇生primary surveyの総括secondary survey/治療方針の決定内部外部被曝線量の評価退院/入院・根本治療三次被曝医療施設への転送primary survey脱衣詳細汚染検査丁寧な除染優先度高低脱衣ファーストシャワー(自衛隊,JAEA)第一印象:バイタルサインの確認緊急被曝医療棟入口前棟内汚染区域棟内非汚染区域図1 福島医科大学附属病院被曝傷病者診療手順色枠は被曝医療に特有の診療手順.通常ERで行われるJATECTMの診療手順に被曝医療手順を外付けした.

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