FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線217放射線測定器を持ち,日々放射線量を測定しつつ生活している住民も多い。 そして本学には,この未曾有の放射線災害による健康被害を正確に調査・記録し,県民の心と体の健康を守り,さらに,新しい未来を作るための基盤を作るという歴史的使命が課せられた。具体的には,原子力発電所事放による放射能汚染から,長期にわたり県民の健康を守り,県民の安全・安心の確保を図るための「放射線医学県民健康管理センター」を設置,福島県とともに全県民約200万人を対象とした「県民健康管理調査」を開始している。11月1日には,菊地臣一理事長と山下俊一副学長により「放射線医学県民健康管理センター」の銘板掲出式も行われた(図6)。まだ,人員配置や経費面の整備はまったく不十分ではあるが,被曝線量推定のため計画的避難区域の住民を皮切りに調査を開始,現時点では全福島県民への調査票の発送が終了した状況である。また,0~18歳の幼小児・学童・学生約36万人については甲状腺腫瘍発生のモニターのため,現時点での甲状腺疾患の状況を把握するための超音波スクリーニング検査も開始した。全国からの応援もいただきながら,本学附属病院で土曜日,日曜日を使った検査を開始しており,すでに3,000名近くのスクリーニングが終了した。今後は,県内外の医療機関の協力も得ながら,各地域でも検査ができる体制を整備,徐々に検査範囲を広げていく予定である。おわりに 3.11東日本大震災後の放射線汚染と避難命令発令下の医療支援活動の一端を,福島県立医大の活動を中心に概説した。2次緊急被曝医療施設に指定されていたとはいえ,想定外の事態であり,大学全体としても手探りの状況での活動であった。この間,総力を挙げて対応してくれた附属病院スタッフをはじめ,医学部・看護学部職員,研修医,学生,ならびに事務職員の皆さんに心より感謝するとともに,今後のさらなる協力をお願いしたい。 最後に,この震災でお亡くなりになった皆さまに心より哀悼の意を表すとともに,国内・外からの温かいご支援に深く感謝申し上げます。

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