FUKUSHIMAいのちの最前線
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216東日本大震災における放射線汚染と避難命令への対応エアーフローティングベッド,クリーンストレッチャー,患者監視装置,ポータブルX線撮影装置,超音波診断装置,人工呼吸器,持続緩除式血液浄化装置などが整備されている。 今回は,まず,除染棟周囲に自衛隊や日本原子力研究開発機構(Japan Atomic Energy Agency:JAEA)などによる仮設の被曝スクリーニングテントと除染テントが設置された。被曝患者は緊急性がなければ,まずここで簡易汚染検査を行い,高度の汚染がある場合は除染棟に入る前に屋外で全身シャワーなどによる除染が行われた。除染棟内は,入口にトリアージ室,その奥に除染室と処置室があり,症状が安定している患者では除染を優先し,バイタル不安定患者は蘇生を優先する手順となっている。その後,隣接する検査室で内部被曝などのチェックを行い,症状に合わせ,退院・入院・3次被曝医療施設への移動などが決定される。今回の事故関連では,高度被曝者12名の除染を行い,そのうち3名が入院した。また,約500名の被災者放射線サーベイを行い,一部の対象者への除染作業を行った。 現在は,急性期に避難地域で活躍してくれた自衛隊員・消防署員・各自治体職員などを対象としたホールボディーカウンターを用いた内部被曝測定を継続して行っている。復興へ向けて 震災後6ヵ月を経て,やっと原子炉の冷温停止への具体的な道筋も発表され,復興へ向けての動きが始まった。2011年9月30日午後6時11分,緊急時避難準備区域は解除となり,現在は,警戒区域,計画的避難区域,特定避難勧奨地点の3種に区分され(図2b),南相馬市などの住民は徐々に地元に戻りつつある。現在,福島市や郡山市では比較的放射線量が高いが,その線量は年間20ミリシーベルトを大きく下回り,健康への重大な影響は考え難い。しかし,妊婦・幼小児・小中学生,そしてその親たちは,放射線被曝の子供たちへの影響に大きな不安を感じ,一部は県外へ避難しているのも現実である。また,図5 第2次緊急被曝医療施設と,その周辺に設置された除染・待機施設図6 「放射線医学県民健康管理センター」銘板掲出式

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