FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線193病室」4床をICUと病棟に整備した。測定・分析機器としては,ホールボディカウンター,高指向性モニター,体表面モニター,αγ線核種分析装置,β線核種分析装置,中性子モニター,ポータブルモニター,各線種用サーベイメータ,などが整備されている。また,被ばく患者の除染と救急医療のためには,熱傷浴装置,移動式簡易浴槽,エアーフローティングベッド,クリーンストレッチャー,患者監視装置,ポータブルX線撮影装置,超音波診断装置,人工呼吸器,持続緩除式血液浄化装置,などが整備されている。 今回はまず,除染棟周囲に自衛隊や日本原子力研究開発機構(JAEA)などによる仮設の被ばくスクリーニングテントと除染テントが設置された。被曝患者は緊急性がなければ,まずここで簡易汚染検査を行い,高度の汚染がある場合は除染棟に入る前に屋外で全身シャワーなどによる除染が行われた。除染棟内は,入口にトリアージ室,その奥に除染室と処置室があり,症状が安定している患者では除染を優先し,バイタル不安定患者は蘇生を優先する手順である。その後,隣接する検査室で内部被ばくなどのチェックを行い,症状に合わせ,帰宅,入院加療,あるいは第三次被ばく医療専門施設へ搬送,などが決定される。今回の事故関連では,高度被ばく者12名の除染を行い,その内3名の入院加療を行った。また,約500名の被災者放射線サーベイを行い,一部の対象者への除染作業を行った。 2011年3月11日の東日本大震災後の放射線汚染と避難命令発令下の医療支援活動の一端を,本学の活動を中心に紹介した。第二次緊急被ばく医療専門施設に指定されていたとはいえ,想定外の事態であり,大学全体としても手探り状況での活動であった。この間,附属病院スタッフをはじめ,医学部・看護学部職員,研修医,学生,ならびに事務職員の皆が総力を挙げて対応した。このような志の高い仲間とともにこの難局に立ち向かえたことを誇りに感じるとともに,心より感謝を申し上げたい。8月8日現在,まだ原発事故は収束には至っていない。しかし,本学には約200万福島県民の健康を守り,新しい未来を創造する歴史的使命が課せられた。この未知の領域へ,臆することなく職員全員で立ち向かっていきたい。 最後に,この震災でお亡くなりになった皆さまに心より哀悼の意を表するとともに,今もなお続く国内・外からの温かい御支援に深く感謝申し上げます。おわりに

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