FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線173れたため、3月25日(金)に公開した。このwebサイトには、福島第一原発と福島県立医科大学の位置を示す地図と福島市内の線量の推移を示すグラフを添付され(右上の図)、日本語と英語の説明文が付けられた。英語の説明文の作成は免疫学の関根教授(当時は講師)が担当した。このころ、放射線量のデータをリアルタイムで公開しているところは少なく、公開後webサイトへのアクセス数は急激に増え、一日のユニークアクセス数が1万件を超えることもあった。配信は今も続いており、2012年8月3日現在でのべ3千万件以上のアクセス数となっている(下の図)。http://www.fmu.ac.jp/home/lib/radiation/(3)来院者のサーベイランスおよび病棟内モニタリング 水道が復旧したため、連休明けの3月22日(火)から病院外来が再開されることとなった。これに伴い放射線部技師が本来の業務に復帰することとなり、それまで行っていた来院者の放射能汚染サーベイラインスと病棟内モニタリングは、総合科学系・生命科学社会医学系教職員が担当することとなった。来院者の放射能汚染サーベイラインスとは、原発から20km圏内からの来院者を入り口で振り分け(この作業は看護学部教員が担当)、放射能汚染の度合をGMカウンターで測定することであった。測定は自衛隊の化学防護部隊隊員(原子力緊急事態宣言に即応して医大に派遣されていた)と総合科学系・生命科学社会医学系教職員、さらに学生ボランティアがチームを作って対応した。作業は病院玄関が開く朝7時から玄関が閉まる夜8時まで(後に夜6時半までに変更)行われ、総合科学系・生命科学社会医学系教職員は分担して対応した。来院者サーベイランスは3月22日(火)から25日(金)まで行われた。 入院患者の被ばく量の把握のため病棟内のモニタリングが行われた。放射線に感受性が高いと考えられる小児がいるNICU(3階)と小児科病棟(4階西)および外気を取り入れている人工呼吸器の使用が多いICU(3階)と救急科(4階東)内に定点を決め、NaIシンチレーションカウンターによる測定を行った。測定は3月22日から3月24日までは一日3回、3月25日以降は一日1回行った。また、4月18日以降は、平日の測定はRI施設教職員で対応することとなり、総合科学系・生命科学社会医学系の教職員は休日を担当することになった。さらに5月11日以降は測定を週2回平日に行うこととなりRI施設教職員がすべて対応することとなった。 以上の活動の他に、4月以降、長期にわたって定期的に学内各所の環境放射線量を計測する必要があるという判断から、医学部長の元に放射線量測定チームが設けられて活動が始まった。その詳細については、測定チームの小林恒夫教授が福島医学会シンポジウム(平成23年7月18日開催)において報告している。

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