FUKUSHIMAいのちの最前線
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第2章福島医大関係者行動記録〈手記とメッセージ〉FUKUSHIMA いのちの最前線139まった。 復旧作業が一段落ついた3月18日夕方に一週間ぶりに水道が復旧し,再開への道筋が見えてきた。1.図書館業務 原発事故による放射性物質拡散の問題で,大学は4月末まで休校することを決定し,センターもそれにならって休館することとなった。休館中も職員全員,通常どおり出動し,図書館の業務と病院の応援業務に取り組んだ。 やむを得ず休館にしたものの,センター内は利用できる状況にあるので,3月下旬から学内利用者には平日の日中に限り通常どおり利用して頂くこととし,ILLも再開した。入館者は少なかったが,後日学生から「迅速に復旧作業にあたって頂いて、休校中にもかかわらず開館してもらってありがたかった」とのうれしい投書が寄せられた。また,卒業式が予定されていた日(中止になった)に,被災者へのメッセージ付しおり約60枚がセンター玄関のブックポストに届けられた。作ってくださった方は不明だが,ありがたく頂戴し館内で配付している。2.情報発信 休館の間,図書館にできることはないかと考え,ホームページ2)に下記のものを掲載した。 1)震災関連情報 福島市役所等の地元情報,「被災学生に対する非被災地の大学図書館によるサービス」3)の各ホームページ(5月まで)ほか,東邦大学メディアセンター様が作成された「被災者への医療支援のため無料公開されているサービス」4)へのリンクを張らせて頂いた。なお,こうした全国的な展開とは別に版元の方から福島県独自に提供して頂いたサービスもあり,福島県医療機関図書室協議会5)で作るメーリングリストkibitaki-netを利用し,各病院に情報を伝えた。 2)放射能関連情報 原発事故直後のチェーンメールなど,人々の不安を煽る情報が行き交っていたことがきっかけで作成した。専門外の人にも分かりやすく,正しい知識を得られるようなサイトを紹介している。 3)原子力・放射能関連ブックリスト 本学所蔵の関連図書・雑誌及び無料公開されている電子書籍等を紹介している。また、4月以降図書を追加購入した2)の「放射能関連情報」と併せ,放射能・放射線に対するリテラシー向上の一助になることを願っている。 4月7日に震度5弱の地震があったが,特に被害を受けることもなく,5月2日,52日ぶりに図書館を再開館した。大学は5月6日に新入生を迎え、一か月遅れで新年度のスタートを切った。 今後の課題として,次の2点を挙げる。1.余震対策 学内を挙げての対策が始まっており,センターとしても夜間発生した場合の対応など問題点を詰めていく予定であるが,人的被害を出さないために,まず書架に「地震の際は書架から離れる」ことを促す掲示を始めた。また,非常時のためにラジオを数台購入し閲覧室に配置する予定である。2.福島県内唯一の医学図書館として 今回,各方面のご厚意によりデータベース・電子ジャーナルが無償提供された。このことについて,学内の認知度を測るため4~5月に医学部・附属病院を対象に簡単なアンケート調査を行ったところ,これらのサービスを「知っている」と回答したのは,Ⅳ.再開まで(3月下旬~4月)Ⅴ.今後の課題

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