FUKUSHIMAいのちの最前線
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136時間をかけて解決したかったと後悔しています。いま振り返ってみると、テレビアニメの世界から急に現実に戻った気がして、さびしくなってしまったのかもしれないと思います。③屋外の炊き出しに参加 避難所の方々に温かいものを食べていただくため、体育館前の屋外で行われる炊き出しに参加しました。そして、福島市の吾妻山に見える雪うさぎをモデルにしたうどんをつくりました。うどんの上に、2枚の油揚げを山になるように乗せて吾妻山を表現し、そこにうさぎに見立てたかまぼこを乗せました。最後にネギを乗せて完成です。ただ炊き出しをするのではなく、福島市のものを取り入れて、そこから少しでも励まそうとしていることがうかがえ、とても感激しました。 炊き出しには、私たちのほかに、60~70代くらいのおばあちゃんたちも参加していました。かまぼこでうさぎの耳をつくるために包丁で薄く切れ込みを入れるのですが、なかなか難しくて、おばあちゃんたちに教えてもらいながらつくりました。知らない方々とも協力して、みんなで支え合っていくことが、これからの私たちに必要なことではないかと思います。炊き出しを通して、人と人とのつながりを強く実感することができました。 お昼になると避難所の方が外に出てきて、すぐに長い列ができました。茹でたてのうどんを出すのに時間がかかり、そのまま外で待たせてしまったので、もう少し工夫や改善したいという意見があがりました。④ボランティア活動を振り返って 避難所の子どもたちはいま、様々なストレスや不安を抱え、精神的に不安定になっていると思います。特に私がいちばん気になったのは、ある子が左右に揺れる動作をしながら、「地震が来たぁ」と言って地震ごっこをしたことです。まわりの子どもたちもそれをまね始めました。震災による町の現状や人々の生活などにはよく目が向けられていますが、子どもたちの心が受けた影響は見逃されがちであると痛感しました。 私は今回のボランティアを通して、いまの社会や人間の置かれた現状から逃げてはいけない、と強く感じています。また、人とかかわっていく中で、どのように接し、どのようなコミュニケーションをとっていけばよいかを考えさせられました。学生生活においても人との接し方やコミュニケーションを大切にして、1人ひとりと積極的にかかわっていきたいと思います。 今回の震災では、様々な分野で働く看護師たちが被災地で懸命に活動しています。私は看護における知識や技術もまだまだ未熟ですが、いまの社会の現状や人々の生活、そして多くの人が受けた心の傷と根気強く向き合い、一看護学生としてよりいっそう勉学に励んでいきたいと思います。そしてこれからも、ボランティア活動を続けていきたいと思います。福島県立医科大学看護学部:学生ボランティアを体験して

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