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平成29年度 大学院学位記授与式 学長式辞  (平成29年9月27日)

   

本日、ここに学位を授与された皆様、誠におめでとうございます。

これまで皆さんは多大な努力の基、知識を得、思考を深め、医療者としての技を磨いてこられました。これからは、自ら身に付けたその知識や技をもって社会に貢献することが求められます。人々を、病の苦しみから解放することは医師として、医学者として当然の務めです。しかし、社会は医師と患者の関係だけで成り立っているものではありません。皆さんにはさらなる医学の発展のために研鑽を積んでいただくことが期待されると同時に、もうひとつ、社会の一員として期待されていることがあります。それは、人材の育成、後進の育成です。人(ひと)は社会の財産です。これからは、社会の財産の充実にもその経験と知識を活かしてください。

福島では東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故により、多くの人がやるせない思いを胸に、後ろ髪をひかれる思いで福島を去りました。その一方で、多くの志ある方が、復興を支え推進するために福島に集まりました。そして今、この災害と事故から6年以上の歳月が流れ、次第にあの惨禍と混迷の記憶が薄れ、関心を寄せる人が少なくなっているのも事実です。この流れは今後さらに加速するものと思われます。

しかし、

・私たちは地域を支える者として、「復興」と「風化対策」という相反する命題にチャレンジし双方を推進しなくてはなりません。
・そして、私たちは医療を担う者として、長期にわたり県民の健康を見守り、健康長寿の実現を図らなくてはなりません。
・さらに、私たちは知を追求する者として、この災害と事故から得られた教訓を、長く、広く後世に伝え、人類の共有財産としなければなりません。

そのためには、非常に長い年月を要し、志を継ぐ人材の育成が不可欠かつ、急務の課題なのです。

本学の前身であった須賀川医学校の第1期生には、関東大震災後、復興院総裁を務めた後藤新平がいました。震災で壊滅した東京の復興の陣頭指揮を執り、見事それを成し遂げた彼の有名な言葉があります。
「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」
その精神を私達は連綿と受け継いできたのです。今また福島は、着実な復興のため、多くの人材を必要としています。活躍する場は変わろうとも、共に福島で学んだ者として、皆さん自身がその原動力になると共に、将来の新たな人材の育成にその力を貸してください。そして、社会のリーダーとして福島に新たなイノベーションをもたらす担い手になることを期待しています。

本日は誠におめでとうございました。

 

 

平成29年 9月 27日
福島県立医科大学 学長  竹之下 誠一


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