HOME > 大学紹介 > 理事長兼学長式辞 > 平成28年度 大学院学位記授与式学長式辞

平成28年度 大学院学位記授与式 学長式辞  (平成28年9月29日)

   

ただ今学位記を授与された10名の諸君、誠におめでとうございます。

この世の中では、誰もが独りで自分の道を歩んでいかねばなりません。人間(ヒト)は、所詮、自分の人生しか生きられないのです。
側に居る他者との関わりを人生とするならば、人生は出会いに尽きます。何故なら、“人生の扉は他人が開く”からです。君達にとって、本学は掛け替えのない出会いの場となりました。
今までの、そしてこれからの出会いを大切にして下さい。

君達はこれから、それぞれの道を看護や医療のプロとして歩まれることと思います。プロフェッショナリズムとは、まず、目的に対する単純、強固な意志です。第二に、低い水準における満足感を拒否することです。第三に、栄光の陰の骨身を削る努力です。最後に、自らの努力無くして人生の果実を期待しないことです。これからの日々、このプロの精神を、胸に刻んで歩んで行って下さい。

矛盾と不条理に満ちた看護・医療の世界でも、明確な目標を持っている限り、これからの人生、どんなに辛くても耐えられます。看護・医学に携わる人間として、どうなりたいのか、世の人々がどういう有り様を君達に求めているのかを、絶えず意識して下さい。その果てに、勁(つよ)さと優しさを持った看護や医療のプロの境地があります。

私の医療人としての長い経験から、君達に三つの言葉を贈ります。
一つは、「時間を大切にする」ことです。過ぎゆく歳月は、人間や境遇を変えます。時の移ろいのなかで、人間は変わるのです。そんななかで、何かを得るには何かを諦めねばなりません。そして、この世に生きている以上、あらゆる者が無傷ではいられません。心に傷を負わずに生きるということは誰にも出来ないのです。だからこそ、自分は何を目指しているのかを、歩んでゆくうえでの燈台にすることです。

もう一つは、“悔しさ”、“無念”そして“挫折”を、生きていくバネにすることです。劣等感こそが成長の鍵です。悔しさ、無念、挫折を経験すると、他人の悔しさや無念さに思いが至ります。それが分かると、自分の言動は自ずと懼れを持ったものになる筈です。これからの人生、途方に暮れることが必ずあります。そんな時は、目の前にある小さな事から先ず取り組むことです。

最後に、「愚直なる継続」です。何でもよいですから、毎日継続できるものを自らが決めて取り組んでみてください。これを実行するには鉄のような意志が必要です。「風を待っている軒下の風鈴」のような受け身の態度での研鑽は、自分の運命を他人の手に委ねるようなものです。「愚直なる継続」は、我々ができる最大の武器であり、大成する王道です。

才ある者は、己の才の無さを誰よりもよく知っています。だからこそ、弛(たゆ)むこと無く努め、転んでも立ち上がり、斗い続けるのです。努力できることも才能です。

これからの人生、原発事故で得た人生観や哲学を生かし、目の前にある課題に真摯に向き合って生きていって下さい。
本日は誠におめでとうございました。

 

 

平成28年 9月 29日
福島県立医科大学 学長  菊地 臣一


▲TOPへ