菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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71.決断は即

私が教授という職に就いてからよく感じるのは、私が何かを決めて或いは良かれと思って相手に話をすると、その結末は最終的には同じなのですがその反応は二つに分かれます。一つは、打てば響く様に返事をする人です。もう一つは、返事を曖昧にし結果的には数日間或いは中には数か月間をおいて返事をする人です。こういう人を見ると話を持ち出した人は非常に困ります。

私自身の事を考えてみると、自分の人生の岐路に立った選択が幾つか有りました。でもその時は全て5秒から15秒で相手に返事をしております。上司の前を下がってから本当にそれで良かったのかなと考えたり日々じっくり考えても結論は同じでした。考えてもみて下さい。自分でじっくり考えたから結論が変わったという事が今までにあるでしょうか。殆ど無いように思います。

何かの話を聞いた時に最初に頭に閃いた判断は結局時間を掛けて考えてもその判断が翻るという事は先ず無いように思いますが如何ですか。だとしたら、相手の気持ちを考えその事を考えれば、打てば響く様に対応した方が必ず相手の気持ちも良いし、自分としても他人に潔さを、或いは爽やかさを売り込める訳です。

一つのエピソードを話します。私は留学を勧められた時に直ぐにその場で「ハイ」と返事をしました。考えてみれば英語は全く出来ず、英語の読み書きはともかくとして会話はゼロです。後から後悔しましたが、結局はその時「ハイ」と返事をして良かったと後になって考えてもそう思いました。帰国後数年して上司が度々他人に「彼は直ぐに決断した」という話を話しているからです。相手にしてみれば打てば響く様に反応してくれるのは非常に気持ちの良いもので、自分のサジェッションに責任を持たなければと思うものです。ですから、やはり決断は即した方が良い様に思います。

 

 

 

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