臨床試験とは新しく考案された治療法や、新しい薬の有効性や安全性について調べる
試験のことです。
臨床試験は、医師主導の臨床試験と治験とに分かれ、目的がやや異なります。
医師主導の臨床試験
医師が主体となり、非営利で行う研究
治療法の安全性や有効性を調べることが目的
治験
製薬会社が主体となり、薬を厚生労働省に認めてもらうために行う試験
薬そのものの安全性や有効性を調べることが目的
福島県立医科大学で行われているがんペプチドワクチン療法は、医師主導の臨床試験です
がん治療のほとんどは、手術療法・化学療法・放射線療法などに代表されるように、
がんそのものを直接破壊することに主眼がおかれている治療法が一般的です。
しかしながら、従来の治療法とは異なるコンセプトに基づく治療法もあります。

人には元来、自分の体にとっての異物を自己とは別なものと認識して排除する能力
が備わっており、これを免疫と呼びます。
通常、健康な人には体外からの感染や体内にできた異物を取り除く免疫機能があります。
がん患者さんにもがんに対する免疫機能があります。

しかし、がん細胞はもともと自分の体から発生したものなので、がんを異物として判断しづらく、
また進行してくるとがんの増殖のほうが強く、またがんの分泌するさまざまな物質によって
免疫が抑えられてしまうということもわかっています。
ですから、がん細胞が体内に多数存在するであろう進行癌の患者さんや、免疫の弱い患者
さんは、もともと持っている免疫機能だけではがんの増殖を抑えることは困難です。

免疫療法とは、がんに直接働きかけるのではなく、人が元来持つ免疫細胞を人為的に強める
ことでがんを治療しようとするものです。

我々が行っているがんペプチドワクチン療法もがんに対する免疫療法のひとつです。
免疫とは自己と非自己を認識し、自己以外のものを排除する機能で、その自己と非自己を区別する
細胞の代表として、リンパ球の一種であるT細胞があります。
T細胞の中でも、キラーT細胞(TCL)と呼ばれる細胞が、最終的にがんを攻撃する役割を
担っていることがわかっています。
細胞は表面に、自己か非自己を示す旗印のようなものを出しており、非自己を掲げている旗印を
持つ細胞をキラーT細胞が攻撃します。
   

                       

  
          



この旗印はHLAという白血球の血液型とも呼ばれる物質にアミノ酸がいくつ結合した、ごく小さな
ペプチドと呼ばれる分子が結合したものです。
このペプチドをエピトープペプチドと呼びます。
このペプチドには非常に多くのものがありますが、がん由来のペプチドは癌抗原とも呼ばれ、
免疫療法の標的ともなりうる物質です。

ペプチドは人工的に合成することが可能で、ワクチンとして投与すると刺激を受けたキラーT細胞が
活性化し増殖してがん細胞を攻撃するようになります。
また、T細胞の教育係であり、免疫系の司令塔でもある樹状細胞が、がん細胞のペプチドを認識すると
キラーT細胞に指令を出し、同じペプチドを持つ細胞を攻撃します。

このような性質を使ってがんを攻撃する方法をがんワクチン療法といい、ペプチドを薬剤として
使用する方法をがんペプチドワクチン療法といいます。



          




先に話しましたとおり、エピトープペプチドはHLA分子に結合しておりますが、この結合は極めて
特異性が高いのが特徴です。
つまり、あるペプチドはある特定のHLA分子にしか結合しないのです。
我々が現在行っているペプチドは、HLA-A2402という型にしか結合しないので、遺伝的にこの
HLAの型を有する方だけが対象となる治療法です。
なお、日本人ではこのHLAの型を有する頻度は高く、約6割が保有しています。

    ※現在、HLA-A0201に対応可能な臨床試験もあります。






※HLA分子の型によって、結合できるペプチドが限られます。
  上記は仕組みを表した例であり、実際とは異なります。
臨床試験とは
免疫療法とは
がんペプチドワクチン療法とは