免疫とは自己と非自己を認識し、自己以外のものを排除する機能で、その自己と非自己を区別する
細胞の代表として、リンパ球の一種であるT細胞があります。
T細胞の中でも、キラーT細胞(TCL)と呼ばれる細胞が、最終的にがんを攻撃する役割を
担っていることがわかっています。
細胞は表面に、自己か非自己を示す旗印のようなものを出しており、非自己を掲げている旗印を
持つ細胞をキラーT細胞が攻撃します。
この旗印はHLAという白血球の血液型とも呼ばれる物質にアミノ酸がいくつ結合した、ごく小さな
ペプチドと呼ばれる分子が結合したものです。
このペプチドをエピトープペプチドと呼びます。
このペプチドには非常に多くのものがありますが、がん由来のペプチドは癌抗原とも呼ばれ、
免疫療法の標的ともなりうる物質です。
ペプチドは人工的に合成することが可能で、ワクチンとして投与すると刺激を受けたキラーT細胞が
活性化し増殖してがん細胞を攻撃するようになります。
また、T細胞の教育係であり、免疫系の司令塔でもある樹状細胞が、がん細胞のペプチドを認識すると
キラーT細胞に指令を出し、同じペプチドを持つ細胞を攻撃します。
このような性質を使ってがんを攻撃する方法をがんワクチン療法といい、ペプチドを薬剤として
使用する方法を
がんペプチドワクチン療法といいます。
先に話しましたとおり、エピトープペプチドはHLA分子に結合しておりますが、この結合は極めて
特異性が高いのが特徴です。
つまり、あるペプチドはある特定のHLA分子にしか結合しないのです。
我々が現在行っているペプチドは、
HLA-A2402という型にしか結合しないので、遺伝的にこの
HLAの型を有する方だけが対象となる治療法です。
なお、日本人ではこのHLAの型を有する頻度は高く、約6割が保有しています。
※現在、
HLA-A0201に対応可能な臨床試験もあります。