平成7年7月6日に抜歯を受けた。7月20日頃より頭痛が出現。近医を受診するも感冒と診断され、内服薬を処方されただけで検査は施行されなかった。7月27日両こめかみがガンガンと痛くなると訴え、当科外来を受診。神経学的異常所見を認めなかったため、筋緊張性頭痛と診断され内服薬を処方され帰宅した。しかし、同日夜より頭痛が激しくなり、翌日何とか会社に出社するも我慢できなくなり、そのまま再度近医を受診。Lt.hemiparesis 4/5を認めたため頭蓋内病変を疑われ7月28日当科に紹介、入院となった。
【入院時神経学的所見】
意識レベル:J.C.S.1
Lt.hemiparesis 4/5
Fundus : no choked disk
Visual field : n.p.
Kernig sign (-)、stiff neck (-)
【入院経過】
歯科的、耳鼻科的検索において脳膿瘍の原因病巣となりうる炎症性病変は認められず。
器質的心疾患もなし
入院後、抗生物質静注にて保存的に加療したが、しばしば発熱し、意識レベルも徐々に悪化(JCS:3)し
【画 像】
CE-CTにて膿瘍の脳室内穿破を認めた。
95/8/15
膿瘍内ドレナージ施行。
術後検体の検鏡ではカンジダと思われる菌体を認めた。
しかし、検体の培養では一般細菌、抗酸菌ともに陰性であった。
その後、発熱・白血球増多を認め、CTにてもperiforcal edemaの増強した。
95/9/1
膿瘍内ドレナージおよび両側脳室内ドレナージ施行。
術後検体の検鏡では、前回同様カンジダと考えられる菌体と胞子を認めた。
検体は現在各種の培養を施行中である。
【Discussion】
入院時の画像所見のみで判断するのは困難。臨床症状と画像所見を総合的に判断すべきであるが、今回の症例では膿瘍ドレナージを施行する時期が遅かったのでは?
膿瘍の脳室内穿破を予知する方法は?