循環器内科は、生命に直結する心臓という臓器を診療する科です。このため、目の前に状態の悪い患者さんが来院されますが、適切な診断、治療を行うことにより、患者さんが元気になって帰られるという一連の経過を完結することができるため、医師として非常にやりがいを感じる魅力的な仕事です。いくつかの例について紹介します。


@ ダイナミックに治療効果を感じられる。

 例えば、電撃性肺水腫の患者さんが救急車で搬送されてきたとします。患者さんは、呼吸が苦しく臥位になれず、起座呼吸で七転八倒の状態です。血圧 180/100 mmHgと高血圧であり、両肺に湿性ラ音を聴取し、胸部X線写真では両側肺水腫の状態です。そこで、血管拡張薬を用いて降圧しながら、非侵襲的陽圧換気(NPPV)による陽圧呼吸を開始するとわずか10分程度で呼吸苦は改善し、その後利尿がつきはじめ、約1日後にはほぼ安定した状態となります。無治療の状態では、生命の危機にある患者様があっという間によくなります。これは循環器内科医の醍醐味を実感できる1例です。


A チームワークが大切である。

 突然に発症した胸痛の患者さんが、急患室に搬送されてきました。担当医数名がすぐに急患室で対応します。即座に必要な検査、処置を判断し、担当医それぞれが自然と仕事を分担して診療がスムーズに進んでいきます。この患者さんを急性心筋梗塞と診断し、緊急心臓カテーテル検査を行うこととしました。血管造影室へ搬送し、緊急冠動脈検査にて閉塞病変をみつけました。突然、心室細動を生じましたが、すぐに電気的除細動で対応します。冠動脈病変に対しては、冠動脈ステントを留置して再灌流療法を行うと、胸痛は消失し、患者さんはCCUへ入室となります。このような治療は一人の力では到底無理であり、コメディカルを含めたチームがまとまって初めて成り立ちます。チームの一員として患者さんを治療できたときには、循環器内科をやっていてよかったと感じます。


 循環器内科のほんの一幕を紹介させていただきました。他にも、不整脈に対するカテーテルアブレーションおよびデバイス植え込み、末梢血管に対するカテーテルインターベンション、心不全患者への運動療法、睡眠時無呼吸症候群に対する治療など、まだまだ紹介していないたくさんの魅力的な治療法があります。  学生、研修医の先生方には、この魅力を何とか伝えて、明日のチームの一員になってほしいと願っています。