日本血液学会学術集会で古川先生と植田先生が口頭発表を行いましました。


■古川先生(北福島医療センタ-)

Autocrine and paracrine interactions by Gas6 signaling pathway via IL-6 between MM cells and BMSCs

古川未希1), 大河原浩1) , 池田和彦1,2) , 植田航希1) , 七島晶子1) , 伊藤恵美3) 今井順一3) ,柳澤 夕佳3) ,本間玲子4) ,渡辺慎哉3) , 和栗聡3) , 小川一英1) ,
池添隆之1), 竹石恭知1)
1)
福島県立医科大学 循環器・血液内科学講座 , 2)同 輸血・移植免疫学講座 , 3)同 トランスレーショナルリサーチセンター , 4)ニッポンジーン

抗血液凝固因子プロテインCの補因子として知られるGas蛋白群の一員であるgrowth arrest-specific 6 (Gas6)受容体型チロシンキナーゼTAM受容体(Tyro3,Axl,Merのリガンドであり、固形腫瘍に高発現し予後予測因子となることが報告されている本学のトランスレーショナルリサーチセンターでは各種造血器腫瘍症例の検体を集積しDNAマイクロアレイにて特異的遺伝子発現を検討してきた。その結果、多発性骨髄腫患者の骨髄サンプルでGas6が著明に高発現していることを発見した。骨髄腫患者の骨髄免疫染色においても、骨髄腫細胞を示すCD138陽性細胞がGas6強陽性を示し、骨髄患者の血清Gas6濃度も有意に増加していた。我々はヒト培養骨髄腫細胞株(RPMI-8226, AMO-1)においてもGas6を高発現していることをフローサイトメトリーで確認した。最近、Gas6が関連したシグナルが骨髄腫の病態に関与する報告がなされた。しかしながら、骨髄腫の病態にGas6シグナルが寄与する詳細なメカニズムは未だ明らかではない。Gas6が骨髄腫細胞の増殖進展に及ぼす影響を検討し、Gas6の骨髄腫の病態進展への寄与を明らかにすることを目的とする。ヒト骨髄腫細胞株はGas6を高発現し、培養上清にGas6を分泌する。Annexin V7-AADを用いたフローサイトメトリーでrecombinant human Gas6刺激が骨髄腫細胞株のアポトーシスを抑制することが明らかとなった。 Cell proliferation MTTアッセイを用いた実験ではGas6刺激は細胞増殖に重要なMAPキナーゼ(ERKリン酸化を介して骨髄腫細胞の細胞増殖を増強した。 これらの結果は、骨髄腫細胞におけるGas6シグナル伝達を介したオートクライン機構の存在を示唆した。骨髄腫細胞は骨髄微少環境に左右され多彩な病態を来す。ヒト骨髄間質細胞株HS-5は培養上清にGas6を分泌することが明らかとなった。また、骨髄間質細胞株HS-5が産生するIL-6が骨髄腫細胞のGas6発現を増強させた。これらの結果は、骨髄腫細胞の増殖進展に、Gas6シグナル伝達を介するオートクライン機構が存在するだけでなく、骨髄間質細胞が分泌するGas6及びIL-6を介したパラクライン機構の存在を示唆した。次に、Gas6シグナル伝達に重要な受容体を同定するためにDNAマイクロアレイ及びTAM受容体を担体とした免疫沈降を行ったところ、Gas6シグナル伝達に重要な受容体はMerであることが明らかとなった。そこで、Mer siRNAを用いて、骨髄腫細胞におけるGas6刺激によるアポトーシス抑制及び細胞増殖におけるMer阻害の効果を検討したところ、 Mer阻害は、骨髄間質細胞株HS-5培養上清によって誘導された骨髄腫細胞の アポトーシス抑制及び細胞増殖を阻害した。これらの結果は、骨髄腫細胞の増殖進展にGas6/Merを介したシグナル伝達が重要であることを示唆した。我々は骨髄腫細胞と骨髄間質細胞との間にはGas6を介したオートクライン/パラクライン機構が存在し、Gas6及びIL-6の両者が重要な役割を演じていることを見出した。さらに、Gas6/Merが関与したシグナルが多発性骨髄腫の有望な治療ターゲットとなる可能性を示した。

■植田先生

The role of oncogene HMGA2 in the pathogenesis of myeloproliferative neoplasms (MPN)
(SETP/OS-3-21)
植田航希、池田和彦、他

我々の研究グループでは、以前oncogeneであるHMGA2が骨髄増殖性腫瘍患者の造血細胞で高発現していることを報告しましたが、HMGA2がどのような機序で高発現し、どのようにして病態を悪化させるのかを解明し、発表しました。