女性皮膚科医を目指す方へ

近年、日本社会では働く女性のキャリアが支援されるようになり、皮膚科の世界でも平成20年に日本皮膚科学会内に「皮膚科の女性医師を考える会」が発足しました。その後、女性皮膚科医のみならず男性皮膚科医も含めた「キャリア支援委員会」と名称を改め、学会全体で皮膚科医のキャリアを支援する体制が整備されつつあります。

キャリアというと出世というイメージがあるかもしれませんが、実際は働くことに関わる継続的なプロセスを指します。皮膚科医としてキャリアを積むということは、皮膚科医としての経験・知識・技術を継続的に積み、"speciality" を確立することになります。女性医師はライフイベントにより自身のキャリアについて悩む場面があります。皮膚科は様々なライフスタイルを選ぶことができ、キャリアが途切れにくい診療科ですが、個人の努力だけでは限界もあるので、私たちの教室では全員で支援体制を考え、様々な状況の女性皮膚科医を積極的に支援しています。

最も大切なことは皮膚科医を辞めずにどんな形でも皮膚科医として医療・医学に携わり続けることです。現在当教室に所属している女性医師7名は、フルタイムで働けない期間があっても途中で辞めることなく、皮膚科医としてキャリアを積んでいます。もちろん、個々人で環境・状況が異なるため(留学や異動で勤務地が夫婦で離れている、一時的に休職していた時期がある、育児環境など)、それぞれのケースに応じた無理のない勤務体制をとることで、私生活とも両立できています。男女間での待遇差もなく、平等に病棟チームリーダー・専門外来・手術執刀などの役割をになっています。

 主な支援内容

  1. 出産育児に関する休暇と休業制度が法律に基づいて整備されています。
  2. 法律に基づいた制度以外にも大学・病院独自の支援制度があります(時短勤務など)。
  3. 福島医大の託児所「すぎのこ園」を24時間対応で利用できます。
  4. 学内の病児病後児保育所「すくすく」も利用可能です。
  5. 保育園等の送迎や病院受診に間に合うよう、18時以降の勤務に配慮しています。
  6. 5.と同様に、外勤先や外勤の時間帯にも配慮しています。
  7. 日直・当直については、家庭の状況に応じて、免除や日直のみなどの配慮をしています。

 女性医師の声

花見 由華 先生(2002年入局)

専門外来では皮膚アレルギー検査外来を担当し、パッチテスト・プリックテスト・負荷試験など、接触皮膚炎や食物アレルギーの診断を中心とした診療を行っています。大学院ではアレルギー疾患や皮膚悪性腫瘍を研究テーマにしていました。夜中まで残って実験し直したり、休日に実験したりと大変なこともありましたが、良い経験だったと思っています。
日本皮膚科学会ではキャリア支援委員会 東部支部協力委員をやっています。福島医大皮膚科は他の皮膚科医局に比べて女性医師が比較的少ない方ですが、日本皮膚科学会には他大学の女性医師にも相談できるシステムがありますので、ハンデを感じることなく働くことができると思います。

平岩 朋子 先生(2011年入局)

皮膚科入局後に出産・育休・職場復帰し、現在に至ります。仕事に思う存分打ち込めないもどかしさと子供を想う気持ちが葛藤し、困難を感じることもある一方で、病棟診療・専門外来など忙しくも充実した日々を送っています。その原動力は「自分が医師を続けることでわずかでも救われる人がいるならば」という気持ちです。そのような中で、自分が女性医師である以上はワークライフバランスを常に考えていく必要があると思うようになりましたし、ベストを尽くした中で皮膚科医としての鍛錬をやめないことが大切だと考えるようにもなりました。一緒に働ける仲間を心待ちにしています。

松村 奈津子 先生(2013年入局)

初期研修後の卒後3~6年目の4年間は、まだ経験の浅い外科医である夫のサポートに徹する決意をし、医療の世界から離れ、子育てと家事を中心に専業主婦をしていました。 次女が1歳半になる頃には自分の時間が持てるようになり、長い人生に思いをはせ、「医師免許を生かして、社会に貢献したい」と考えるようになりました。
こうして卒後7年目に復帰・入局したわけですが、 言葉で表現されない患者さんの本心や置かれている立場・状況を想像する力が多少豊かになったように感じます。また、人に対していい意味で寛大になったようにも感じます。子供がまだ小さく周りの方々に迷惑をかけることもありますが、とてもアットホームな雰囲気の中、周囲からの協力を得ながら働くことができ、本当にありがたく思っています 。皮膚科専門医取得を目指しつつ、 探究心をもち診療や勉強に日々努める事、サブスペシャリティを身につける事がいまの目標です。

本多 皓 先生(2016年入局)

慶応大皮膚科に入局し6年間勤務した後、主人の転勤に伴い、福島医大皮膚科に入局しました。産後半年での復職であり、週3日のみの勤務を経て、現在は週5日勤務しています。新しい場所で、子供を育てながら働けるのかとても不安でしたが、周りの方々の協力のおかげで仕事を続けることができています。福島医大は託児所だけでなく病児保育所も併設されており、子供をもつ女性医師に働きやすい職場です。
皮膚科は外来診療だけでなく、手術・病理診断もできることにやりがいを感じています。扱う疾患もアレルギー性疾患、感染性疾患、自己免疫性疾患、悪性腫瘍と多岐にわたりますので、必ずやりたいことが見つかると思います。

三浦 貴子 先生(2000年入局)

どうして私は医師になったのか?いろいろなことに迷った時には、この原点に帰ることにしています。誰かの役に立ちたい、きっと多くのみなさんがそのように志してきたのではないでしょうか?そのためには、中途半端な気持ちで辞めるわけにはいきません。

数年前、ワーキングウーマン向けの女性雑誌の表紙に載っていた「責任ある女性は美しい」という言葉が好きです。スペシャリティーをもつ皮膚科医を目指して知識や経験を積み、きちんと自分の仕事に責任を持てる女性医師をぜひ一緒に目指しましょう。結婚、育児などで困難なことがあっても、一生懸命な人には誰かが手を差し伸べて助けてくれます。未来を担う子供たちはそんな母の後ろ姿を見て、何かを感じ取ってくれるはずです。

2017年に福島市内で南やのめ皮膚科クリニックを開業いたしました。クリニック立ち上げには不安もありましたが、今までこの教室で積み重ねた臨床経験が何よりも自信となりました。これは当教室がどのような環境にある女性医師に対しても適切なサポート体制を確立し、私が長年勤務できた結果であると思っております。これからも皮膚科医としての鍛錬を怠らずに、地域医療に貢献できるよう努力いたします。ぜひ一緒に"specialist"としての皮膚科医を目指す若手の女性医師が増えることを期待しております。