心臓は1.全身から心臓に戻ってきた血液を肺に送り、肺で酸素の取り込み・二酸化炭素の排出といったガス交換を行い、2.肺から戻ってきた血液を全身に送り出す、という2つのポンプ作用によって全身臓器の機能、生命の維持を行っています。
心臓や大血管の手術では、一般に、この心臓を停止させ、心臓や血管の中を空にして、良好な視野を確保して手術を行う必要があり、この間、心臓と肺の機能を代行する装置が必要になります。
体外で生体機能を代行する方法を体外循環といいます。
手術中、心臓のポンプ作用と肺でのガス交換機能を100%代行する装置が人工心肺装置です。さらに代謝をコントロールするための体温調節や、停止している心臓の保護、切開や手術によって生じる出血の回収による輸血の節減などにより、手術中、全身状態の維持温存を行います。

これに対し、さまざまな原因によってポンプ作用が不十分となった心臓を補助、あるいは代行することにより、全身状態を維持する方法を補助循環と言います。
補助循環には、PCPSIABPなどいくつかの種類があります。

PCPS(経皮的心肺補助)
人工心肺装置を簡便にしたシステムで、救急時にも短時間で装着することができます。主に大腿部からカニューレを挿入し、経皮的に心臓と肺の補助を行ないます。
IABP(大動脈内バルーンパンピング)
全ての補助循環の中で最も簡素で普及している方法です。専用のバルーン付カテーテルを体内に留置し、心臓の動きにあわせてバルーンを拡張・収縮させることによって、心臓の仕事量を軽減させることができます。
ただし、禁忌とされる疾患もあります
(大動脈弁閉鎖不全の場合、逆に心臓の負荷となってしまいます)


これらの体外循環装置は生命維持管理装置(人の呼吸、循環または代謝の機能の一部を代替し、または補助することを目的とされる装置)とも呼ばれます。
“医師の指示のもとに生命維持管理装置の操作および保守点検業務を行なう人”を臨床工学技士といい、医師や看護師、臨床検査技師などと同じように医療国家資格を取得しています。
現在、当施設には、6名の臨床工学技士が在籍しており(内1名は、体外循環認定士の資格を取得しています)、人工心肺業務や補助循環業務を全て行っています。

2005年の開心術症例数163例のうち、人工心肺を使用した手術は129例(小児49例、成人80例、内緊急手術16例)でした。
開心術には、平均2〜3名の臨床工学技士が入り、機械の準備や、人工心肺装置とその周辺機器の操作、術中の出血を回収して患者へ返血する自己血回収装置の操作などを行っています。
また、PCPSやIABPなどの補助循環は、年間約20例あり、それらの操作や定期的チェックと管理、回路交換などを行っています。
休日・夜間の緊急手術の際にも、交代で24時間随時対応しています。


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