《被災地現場視察》 東京電力福島第一原子力発電所視察
原発事故当初より諸機関の前線基地として活用されたJヴィレッジにおいて、東電職員より原発の廃炉作業の現況について解説を受けた後、帰還困難区域を経て第一原発を訪問。入退域管理棟にて救急医療室を見学し、当直の医師及び東電職員により現在の救急医療対応の状況の説明を受けた。続いて個人線量計を装着し、バスにて免震重要棟を訪問し、内部の現地指揮状況を視察した。その後はバス車内から汚染水処理施設・各種汚染水タンク設置状況・3、4号機廃炉作業現場・5,6号機救急医療室跡・外部電源破損状況・5,6号機近傍で生き残ったディーゼル発電機等を見学。

  


 感想等(抜粋)
福島原発の現状を知ることができ、有意義な時間だった。福島原発内の医療提供に関して、ERへの来室者は7-8人/月程度との話ではあったが、作業者が安心して作業を継続するためには、必要な医療体制であり、今後も続けていかなければならないと感じた。また、汚染傷病者がいつ発生するかわからないため、院内の被ばく医療体制の維持と教育の必要性を改めて認識することができた。


最後に、このセミナーへ参加しての全体のご意見・ご感想を伺いました。(抜粋)

  5年経った福島の現状と、正しい知識だけでは解決しない問題が存在していることがよく分かりました。正しい知識や教育を、今後起こるかもしれない災害にいかせるトレーニングコースを今後作り広めてもらえると良いなと思いました。また、災害からの復興において、心理学や社会学といった医学/医療とは異なる専門性も取り入れた対策が不可欠なんだと感じると共に、不勉強な部分を学んでいこうと思います。3日間ありがとうございました。

  前回の受講時も感じたことだが、本セミナーは放射線被ばくや放射線医療だけのクローズアップするのではなく、社会的な側面や医療以外の視点から放射線問題を語っており、一見関係ないような講義でも最終的に繋げていくと、福島が抱える放射線問題や医療問題の本質を理解することになると思う。講義テーマも受講者が一つ一つに興味が持てる吟味された内容であり、タイトともいえるスケジュールの中でも苦痛なく拝聴することができた.偏に講義内容を立案された先生方のお力と感じる。その講義から得られたものは、福島における放射線事故の影響がまだまだ根深く先遠い事象であることであるが、それらを過去の教訓とし未来への一助となる視点で考える人たちが存在することに敬意を示したい。原発事故は歴史の一つとして風化させてはいけない。


  「緊急被ばく医療体制」においては、今まで何が足りなかったのか明確にしていただき、文面だけでは分かりにくかった体制内容について整理することができ、大変ためになりました。それから、「リスク認知」や「震災後の復興を考える」においては、ややもすると専門知識にのみ頼ってしまい、視野の狭さが露呈されてしまいがちなところを幅広い見方で考える必要性を痛感させられ、非常に良かったです。このように、この福島災害医療セミナーは、他の機関で行われている内容よりも幅が広く、なおかつ深い内容であると思います。そして、現地での見学は、何よりもインパクトがあり、長い目でこの問題に取り組んでいかなければならないと思いました。これからも、講師の先生はじめスタッフの方達のご活躍を祈念します。