《プレテスト》

《講義》 チェルノブイリ事故後のベラルーシ  
講師 : タチアナ・ログノビッチ(長崎大学)
  チェルノブイリ事故当時のベラルーシ住民の立場から、当時の状況を紹介した。さらにベラルーシの学校教育における放射線物理教育を紹介し、社会における正しい放射線リスク理解のための学校教育の重要性を示した。

 感想等(抜粋)
チェルノブイリ事故から学んだ教訓や問題、健康リスクを国家が危機と考え、初等教育から医学専門に至るまで一貫して放射線教育が取り組まれていることは驚きに値する。日本と比較しスタートラインが違うことに日本の問題点が見えた気がする。


《講義》 被ばく・汚染疾病者医療対応  講師 : 熊谷 敦史
  被ばく・汚染傷病者受け入れ実習に向けて、被ばくと汚染の概念、搬送や医療機関での準備・対応等に関する講義

 感想等(抜粋)
医療対応に関してある程度の理解があったため、講義内容で自己知識の確認ができた。しかし、除染する場合放射線物質が残らないようにと考えていたことが、ある程度の残存は身体影響や二次汚染に問題が無いことを知り得たことは大きな成果である。


《ワークショップ》 緊急被ばく医療対応  
講師 : 佐藤 久志 (放射線腫瘍学講座・放射線災害医療センター) ・ 熊谷 敦史 ・ 吉田 浩二
3班に分かれ、原発内の傷病者発生シナリオに対して各職種の準備、判断、対応を考える演習。線量計算も含まれており、より専門的な放射線のリスク認識を求める。
  

 感想等(抜粋)
グループに別れて机上演習を行い、自分の職種の対応が学べた。今まで私は、RI・治療の経験はなく検査・撮影が主でしたのでGM管で計測して被ばく線量の計算などした事がなく放射線事故での放射線技師の対応が学べ、勉強になりました。

《講義》 福島原発事故の人文社会科学的考察  
講師 : 藤野 美都子 ・ 福田 俊章(人間科学講座)
放射線災害における法学的視点からの考察及び哲学的視点からの考察
  

 感想等(抜粋)
受講した際には被ばく医療という観点から視点が外れているような印象を受けたが、改めて資料を拝見すると放射線事故が住民に与える影響がウクライナと福島を対比して考察してあり、問題が明確化されていることが判った。災害はその専門分野だけを理解することでなく社会学的側面から考察することが重要。


《講義》 福島めばえ幼稚園における震災と取り組み  
講師 : 伊藤 ちはる(福島めばえ幼稚園教員)
  震災後、現在に至るまでの経験と放射線被ばくへの対策等に関する概説に加え、震災後の保護者の要望、様々な制限かでの園児の成長と保育上の課題を年次毎にわかりやすく紹介し、保育のあり方をも考察する内容

 感想等(抜粋)
報道では放射線による子供の健康被害や保育園等の除染がクローズアップされてはいたが、精神行動や遊びなど事故後の本来の子供のあるべき姿の変化を知識として得られた以上に、園が子供のために様々な対応や工夫を凝らしていることに頭が下がる思いである。

《講義》 避難者の生活とメンタルヘルス  
講師 : 松本 貴智(神経精神医学講座)
  実際に被災者の声を聞き続けてきた臨床心理士により、福島における避難の特徴と、避難者における心理学的知見について、症例提示を交えながら紹介

 感想等(抜粋)
災害の後は身体的な問題以上に精神的な問題がクローズアップされているが、それらは直接的に災害に遭遇したことでの問題であるが福島の事案は家屋の倒壊など直接的な環境変化だけではなく、放射線問題による間接的な被災による生活破壊や個人の役割変貌、そしてそれらが長期化することでの問題が理解できた。


《演習》 リスクコミニュケーション  講師 : 安井 清孝 ・ 熊谷 敦史 ・ 吉田 浩二
受講生互いに住民役、相談役となり、@不眠と漠然とした放射線不安、A放射線への恐れからの運動不足になった事例の相談を体験する面接演習。
  

 感想等(抜粋)
問題を抱える住民にとって安心のために何が大切なのか、やはり正しい知識を得ることであると思う。また、住民は安全や健康は与えられるものでなく、住民自身が自分で健康を考えるような会話手法が大事なことである。住民参加型の健康問題対応が災害の時に必要であり、長期になれば尚更であると考える。